Social Good Company #21:CAMPFIRE 「社会課題解決のためのプラットフォーマーとして」

2018年度の国内クラウドファンディングは、既に2,000億円の規模を見込み(矢野経済研究所調査より)、その市場を牽引するCAMPFIRE
最近は、多くの金融機関との提携や新しい評価型与信モデルの提供といったこれまでにない社会的価値を提供しています。今回のSocial Good Companyは、CAMPIRE 取締役 中田 雅人 様にお話を伺いました。

・社会課題解決のためのプラットフォーマーとして、社会に貢献。
・多くの地域金融機関との提携等により、新しいお金の循環を創造。
・レンディング事業では、借り手の信用情報からソーシャルメディアでの影響力等を組み込んだこれまでに無い与信審査モデルを構築中。

●貴社は、「資金集めを民主化し、世界中の誰しもが声をあげられる世の中をつくる。」というのが、ミッションとして掲げられています。クラウドファンディング企業として、その辺りの創業や事業の意義から教えて下さい。

CAMPFIREは、2011年に会社を設立しました。創業当社から、大きな金額のプロジェクトがあるよりは、小さな金額でも出来るだけ多くのプロジェクトが育っていく、資金集めの民主化を目指しています。

●2011年頃、クラウドファンディングは言葉自体の認知度も低かったと思いますが、現在、その市場は広がり、ネットサービスとしてポピュラーな存在となりました。事業者の立場からはどの様に思われますか?

現在、日本国内の購入型クラウドファンディングの市場規模は、年間で100億円を超える見込みであり、世界に占める日本のシェアも数%ですので、まだまだ国内では成長する市場だと考えています。
また、私たちは、これまでの購入型や寄付型のクラウドファンディングに加え、貸付型のクラウドファンディングも本格的に立ち上げを進めています。貸付型のクラウドファンディングを事業として行うためには、貸金業者への登録が必要となりますが、2017年7月からは、貸金業への登録を行い、自社資金でのレンディングをスタート致しました。

●ソーシャルレンディングの基本的な仕組みを教えて頂けますか?

ソーシャルレンディングは、貸付型のクラウドファンディングとも言われます。小口投資家のお金を集めて、何かをしたい事業者向けに貸付するのが、ソーシャルレンディングです。
ソーシャルレンディングの仕組みを活用し、国内の小口投資家の方々のお金を集め、海外の貧困をなくすことを目的とした融資(マイクロファイナンス)を進めることも検討しています。そういった意味では、お金を何か意味あることに使ってもらえる様、促進していると言えるでしょう。

また、自社資金でのレンディングのサービスを始めて感じたことですが、通常、借り手の延滞の情報は数年間、信用情報機関で保有されることになります。数年間前の延滞情報が残っていれば、現在、延滞も解消し社会的信用もあり、多くの収入があったとしても、金融機関やノンバンクでは、融資をお断りするケースも少なくありません。

年次の決算データや過去の実績ももちろん重要ですが、私たちは、今現在の状況や商流を重視した審査を行っていくべきであると考えています。

●生きたお金を循環させるため、過去の実績よりも今を重視し審査をすることは大いに賛同しますが、従来の審査と比べて、新しい基準での貸し倒れリスクなどの課題はありませんか?

当初の想定以上に良い結果が出ていると思います。
私たちのところへ相談に来られるお客様は、他の金融機関やノンバンクでそもそも各金融機関の審査テーブルに乗ることができなかった事業者の方もいらっしゃいますが、定性・定量情報を与信判断に組み込んだ結果、優良なお客様が多いと感じています。

●従来の金融機関に断られたからではなくて、先程の「資金集めの民主化」の様なミッションに賛同して、相談に来られる方も多い様な気がします。

もちろんそういったお客様も多くいらっしゃいます。
クラウドファンディングでプロジェクトを達成した実績のあるお客様に主にご利用頂いています。

●以前から、映画制作や商品開発、アイドルのプロモーション等のクラウドファンディングもあったかと思いますが、それらとソーシャルレンディングの違いをもう少し教えて下さい。

ソーシャルレンディングは、借り手の匿名性を保つことが特徴の一つとなります。

●匿名性を保つ理由はなんですか?

借り手の保護ということが挙げられます。
借り手が予定通り返済できないといった場合にトラブルが起きない様に、投資先を特定することはしていません。投資する先が特定され明確にオープンとなっているクラウドファンディングとの違いはこうした点が挙げられます。

また、ソーシャルレンディングは配当金がリターンとなります。

●まさに金融業としての取り組みです。また、貴社は、非常に多くの地域金融機関の方々と積極的に業務提携されているのが特徴的ですが、どの様な連携をしていますか?
地域金融機関との連携で多いのが、クラウドファンディングを通じたテストマーケティングの実践です。
つまり、試しに商品を作ってみて、どのくらいのマーケットがあるかをクラウドファンディングによって把握することができます。従来であれば、資金調達は金融機関の融資となりますが、両社が連携することにより、クラウドファンディングを通してその反応を見ましょうということです。

クラウドファンディングを通して、どの程度賛同者がいるのかテストマーケティングの検証として使えますし、仮にプロジェクトが失敗したとしても事業者のリスクはありませんし、プロモーションを目的としてご利用頂くケースもあります。

現在は、45の地域金融機関と提携していますが、今後も積極的に進めていきたいと思っています。

●お金の良い循環を日本全国に拡げていくことを目的とした際、地域金融機関との連携はとても意義ある取り組みです。事業者のテストマーケティングの機能も果たしているとすれば、地域金融機関にとっても与信審査の基準の一つになります。

まさに、プロジェクトが成功すれば、融資先の一つとしてテーブルに上がることになるかと思います。
決算書等の財務データももちろん重要ですが、地域金融機関の方々にとっても、クラウドファンディングにより、賛同者や生の声が聞けることは有効な取り組みとなります。

●地域金融機関との連携により、新しいお金の流れを作り出していると言えますね。

私たちは、事業者の方々を後押しする立場ですが、プラットフォーマーとしてそういった役割を果たしていると思います。

●他のクラウドファンディングの会社とは異なり、新しいモデルにより、金融機関に近い取り組みを貴社ができているのは、どういったことが要因になっていますか?

クラウドファンディングには、購入型や寄付型の他、融資型、株式型、投資型と様々な手法がありますが、根底にあるのは、支援者が様々なプラットフォームを通して応援したいということではないでしょうか。

●検討しているソーシャルレンディングのプロジェクトを教えて頂けますか?

社会課題解決のための取り組みを検討しています。
例えば、古民家再生のプロジェクトです。これまでの単なる不動産投資ではなくて、社会課題解決のためのプラットフォーマーとして、社会に貢献できればと考えています。こうした取り組みを進めるためには、貸金業の登録が必要になりますが、私たちは、従来とは異なる仕組みを考えています。

融資を行う際に、従来の日本の与信方法は、信用情報機関に登録されているクレジットカードの利用履歴や遅延情報の有無等から審査判断をしていました。

そうしたこれまでの与信審査から、私たちは、新しい審査モデルを提供すべく進めています。

●具体的な審査モデルを教えて頂けますか?

アメリカや中国では、自分の与信スコアを自分で把握することができます。
アメリカでは、「FICOスコア」というものがあったり、中国ではアリババグループが、返済を滞りなく行うことによって、信用力が上がる、そして、スコアがアップするのも自分でも把握できる仕組み「芝麻信用」を提供しています。日本ではこうした仕組みはほとんど浸透していませんので、こうした取り組みも今後進めていきたいと思っています。審査には、本来、借り手の性格や人となりが重視されるべきです。

これまで通り、クレジット・ヒストリーの情報も必要ではありますが、例えば、過去にクラウドファンディングを行った実績のある人であれば、その支援を受けた内容、SNS上での人との繋がりや影響力等も加味して、スコアリングの仕組みを構築しています。

●新しい与信審査の基準は、デジタルやソーシャル時代に応じた新しいモデルと言えます。


従来の金融機関が行う様な基準での与信審査も行いますが、クラウドファンディングでの実績や達成度合い、経営者のFacebookやTwitterのフォロワー数やエンゲージメント等を加味して審査を行います。
まだその仕組み自体はスタートしたばかりですが、そうしたいくつも評価項目をスコアリング化し、新しい審査モデルを構築していきます。

●影響力ということでは、SNS上でのインフルエンサーは金利が優遇されたりすることもあるわけですね。

そういったことも考えられます。
Facebookの友達が多ければ良いという単純なことではありませんが、人との繋がりが大きければ、注目もされるし手を差し伸べる支援者もたくさんいるかもしれません。

●従来の金融機関やノンバンクとの違いや貴社の強みはなんでしょう?

これまで、銀行等の金融機関から融資を受けられなかった業歴の浅い会社の方や、飲食店を開業する方等がお客さまとしてご利用頂いています。
そして、私たちがソーシャルレンディングで目指しているのは、投資家の方々に対して、多大なリターン、つまり配当を提供することではありません。配当を大きくすることは、借りる際の金利も高くなってしまいます。社会的に価値があり、意義あることにお金を循環させたい投資家の皆様に投資して頂ければと思っています。

レンディングのニーズとしては、最初にクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げ、支援者側からもっとこうした商品を提供して欲しいとニーズがあった場合、改めてクラウドファンディングを行うよりは、弊社が200万円迄であれば、すぐに直接貸付を行うことが出来ます。運転資金であったり、開発した商品の量産であったり、様々な使途にご利用頂いています。

●金融機関とは異なる立場から、新しい価値を提供しています。

前職のノンバンクや銀行で私自身は、商品企画業務と審査業務に携わってきました。
審査業務に関しては、借り手であるお客さまとのコミュニケーションはほとんどありませんでした。現在は、クラウドファンディングの実績から、レンディングのお取引きが始まったりすることにより、お客様から実際にお礼のメッセージやお電話をいただくなどダイレクトなコミュニケーションや繋がりが出来ていますが、そうしたことはこれまでの従来の金融機関では体験できない醍醐味と言えます。

●Webサイトやオフィス内にも掲示してあるCAMPFIRE 10のバリューが非常にユニークです。社内への浸透は如何ですか?

社内の至るところに掲示したり、紙にして社員に配ったりしていますので、浸透してきたと思います。
こうしたミッション、バリューの社内理解のため、分科会を設けるなど社内整備も進めています。こうした価値を社員は大切にしており、こうしたバリューに共感して入社する社員も多いと感じています。

●最後になりますが、今後、CAMPFIREさんのプラットフォームは、どの様な進化を遂げるのでしょうか。

今後は、海外への進出や国内外企業連携も積極的に進めていきます。
わかりやすい例であれば、国内で人気があったクラウドファンディングの商品を海外の市場を通して、資金調達を行う取り組みです。また、既に海外でヒットした商品を日本で紹介することも行っています。海外の貧困層向けのマイクロファイナンスも考えています。日本は海外と比べ、お金として活用されていない、つまり、普通預金の口座に預けているだけのお金がとても多いと感じています。

CAMPFIREが、社会課題解決のためにお金を使う仕組みを創り、課題解決のために活かせる仕組みを後押しすることが出来ればと考えています。

■インタビュアー・テキスト
エンゲージメント・ファースト 萩谷 衞厚

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