Social Good Company #14:良品計画(ソーシャルグッド事業部)

1980年に西友のPB商品として誕生した「無印良品」。わずか40品目の商品でスタートしたブランドは現在、7,000品目以上、国内・海外を含めて、860以上もの店舗を展開し、今や日本を代表するグローバル・ブランドの一つと言えるでしょう。手頃な価格と高い機能性と品質を実現している商品は、熱狂的ファンも多く、MUJI passport(スマートフォン・アプリ)は、実に1,000万人に利用されています。

こうした中、良品計画では、今年の2月1日、社会課題解決を事業につなげるためにソーシャルグッド事業部を立ち上げていますが、この度、執行役員で同事業部長の生明(あざみ)様に新部署が設立された意図や狙いをお伺いする機会を頂きました。

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<インタビューにご協力頂いた方>
株式会社 良品計画
執行役員 ソーシャルグッド事業部長
生明 弘好 様

 

●良品計画さんでは、今年の2月1日より、商品やサービスを通じた社会課題解決を図る 「ソーシャルグッド事業部」 を立ち上げました。

 

私たちは、無印良品の1980年の誕生以来、事業つまり「商い」を通じて社会課題の解決をしてきました。

誕生時の最初の商品の一つが「割れしいたけ」です。それまでの干ししいたけは、大きさが不揃いだったり割れたりしたものが市場に出回ることは稀でした。しかし、私たちは、これまで商品として販売できなかったものを一緒にパッケージに詰めて商品化し手頃な価格で市場に流通させました。
パッケージには、「大きさはいろいろ、割れもありますが、風味は変わりません」とのコピーが表示されていますが、その時から、良品計画の理念は一貫しています。

そうした考え方や社会課題解決を通じた事業創出のためにソーシャルグッド事業部が設立されました。

 

●社会課題の解決というのは、創業以来の理念なんですね。

 

弊社は理念として「感じの良いくらしの実現」を掲げ、「商い」で社会に貢献することを宣言しています。消費社会のアンチテーゼとして生まれ、まもなく社会はバブル期を迎えましたが、その時代にも無駄を排除したくらしの提案を行ってきました。社会課題の解決が事業目的の一つと言ってもよいかもしれません。
弊社の製品は、基本的には社会にとって、顧客にとって「良い商品」「良い体験」を産むものでなければなりません。無印良品の発案者の一人であり、長年アートディレクターを務めた田中一光氏の言葉がそれを象徴しています。

”簡素が豪華に引け目を感じることなく、その簡素の中に秘めた知性なり感性がむしろ誇りに思える世界、そういった価値体系を拡めることができれば、少ない資源で生活を豊かにできる”

この考え、哲学のもと様々な商品を開発してきましたが、最近では、千葉県鴨川市大山地区で栽培された飯用米のコシヒカリを原料として、日本酒という商品名のお酒を開発しています。これも米作農家の方々を支援し、その地域の棚田維持に寄与することを目的に、地域の方々と一緒に商品開発を行いました。

02日本酒

飯用米で作った日本酒
https://www.muji.com/jp/feature/sake/

 

●現在ではモノ軸(製品軸)ではない、コト軸での商品やサービス提供も増えています。

 

最近は廃校や中小公園の再生等にも取り組み、また中国の深センではホテルもオープンしています。

また京阪電鉄さんの枚方市駅では、当社が空間デザインに関わり、リニューアルする計画が進んでいます。

03MUJIHOTEL

MUJI HOTEL
https://hotel.muji.com/ja/

 

●従来の商品展開の範疇を超えて、様々な分野に展開されています。

分野ということでは幅広いのですが、私たちの最大のミッションは、これら取組みと店舗をどう連動させ、明日の無印良品を創っていくかということです。
現在は、道の駅との連携も検討を進めています。無印良品が関与することで、道の駅が地域にいかに役立つ存在になるかがテーマとなります。

 

●2月1日に設立されたソーシャルグッド事業部で注力する取組みを教えて頂けますか?

ソーシャルグッド事業部は、二つの部門で構成されています。
一つは、ローカルグッド つまり「地域の良いこと」を起点に、様々な主体と協働した事業を通じて地域を活性化していきます。
そしてもう一つが、スペースやエリアのプロデュースを通じて新たな生活価値を創っていくことです。
また先行した取り組みとしては、昨年7月から有楽町店に青果売場をオープンしています。店舗を訪れたお客様が生産者の方々や生産現場に思いをはせ、「食べること」を再度見つめ直すきっかけとなることを目指しています。

04有楽町青果

●その他、新しい展開があれば教えて下さい。

 

「無印良品の小屋」https://www.muji.com/jp/mujihut/ という商品も展開していますが、小屋を販売するだけではなくて、小屋を利用して、地域に新しいコミュニティを作っていきたいと考えています。例えば南房総の廃校では、再生された校舎を共用部として、校庭にこの小屋10棟が既に分譲販売されて、新たなコミュニティが生まれつつあります。

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●地域課題を解決していくということは、地域の店舗の役割も変わってきますね。

 

店舗にとっては、地域の住民や自治体・企業等との関係を深めることが、ますます重要な役割となっていくでしょう。人々の役に立ち、人々をつなげ、地産地消の促進や地域の良品を無印良品のネットワークで全国に拡げていく役割も担い、コミュニティや地域経済の活性化を促していくことが重要なミッションとなるでしょう。

 

●ソーシャルグッド事業は今後どのような展開を目指しているのでしょうか?

 

将来的には、日本と同様の課題を抱える東アジア各国にも移植できる事業モデルを確立したいと考えています。

 

●今後もソーシャルグッドなお取組みを期待しております。本日は、貴重なインタビューの機会を頂きまして有難うございました。

 

 

■コラム執筆・インタビュアー
エンゲージメント・ファースト 萩谷 衞厚

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