エンゲージメント・ファーストでは、Social Goodなお取組みを行う企業・団体の皆さまを対象として、独自の選定基準により、「Shared Value ベスト・プラクティス」として表彰をさせて頂いています。
この度、クレディセゾン 神奈川支社様の神奈川県内での地域活性化のお取組みを選定させて頂きました。
日本を代表するクレジットカード会社の一つ、クレディセゾン。みなさんにもお馴染みの有効期限のない永久不滅ポイントは、あまりにも有名ですね、その他、今では多くのカード会社でサービスを提供する年会費無料サービスや、クレジットカードの即日発行サービスは、クレディセゾンが日本で初めて提供したサービスなのです。まさにクレディセゾンの歴史はサービス・イノベーションの歴史と言っても良いでしょう。
最近では、全国の支社が、地域の社会課題を起点とした地方創生の取組みをスタートしています。今回は、全社的にもその取組みで先頭を走る神奈川支社の方々に、地方創生に取組む意義や推進内容をお伺いしました。
クレジットカード会社が進める地方創生の事業とは? 是非ご覧下さい。
【インタビューにご協力頂きました皆さま】
株式会社 クレディセゾン 営業推進事業部 神奈川支社
法人営業課 係長 古賀 様
同 法人営業課 中川 様
同 法人営業課 佐々木 様
●現在、神奈川支社では独自に、地方創生の活動をされていますが、こうした取組みを進めているきっかけを教えて下さい。
(古賀様)大学教授の方や地域の市会議員の方とのご縁をきっかけに、神奈川県の黒岩知事との出会いが始まりです。知事とのディスカッションの中で、神奈川県の課題に関して、様々なお話を伺うことが出来ました。
その中の一つに、既に神奈川県では、犬や猫の殺処分ゼロの取組みを2年前から進めていますが、これからもその取組みを続けていきたいという話がありました。
神奈川県平塚市に犬や猫の動物を保護する施設があり、「動物を処分するための施設から、生かすための施設」へ転換し、新しい動物保護センター建設のための資金を確保していきたい、というお話を伺いました。
そこで、私たちに何が出来るかを考え、弊社の永久不滅ポイントを、動物保護センター建設基金として提供できる仕組みをつくりました。それ以来、神奈川県庁の方々とは継続して情報交換を行っております。
また、神奈川県としての大きな課題は把握出来ましたが、県内の市町村の課題はなかなか把握できていませんでしたので、各自治体に直接お邪魔をしてお話を伺ったりしました。そうした中、地域の課題解決に組織として取組みたいとの想いから、神奈川支社内に、2016年4月、地方創生プロジェクトを立ち上げました。
●プロジェクトの活動と業務はどの様に連携していますか?
(古賀様)プロジェクト自体は、自分の意志で参加を表明するスタイルではじめました。当初は10名程度ででしたが、現在は、神奈川支社約180名中、28名が参加しています。
昨年から本格的に活動をスタートしていますが、現在は支社内でも活動内容が浸透してきたことを機に、地方創生に限らず、様々なプロジェクトが立ち上がり、各自が能動的に仕事に取り組んでいます。
●動物保護センター建設基金への永久不滅ポイント寄付はどの程度集まりましたか?
(古賀様)グループ会社とも連携して進めていますが、既に1,200万円ほどご寄付をいただいています。動物愛護の取組みに関しては想像以上に反響が大きく、多くの方が関心を持って頂いていることに気付きました。
(佐々木)この寄付の半数以上は、神奈川県外の方々のご支援です。ペットを飼っていらっしゃる方も多いので、全国的に関心が高く、それがポイント寄付にも繋がっていると思います。
●ペットを飼っている方からは、セゾンカードへのロイヤルティが高まりますよね。
(古賀様)個人のお客様に加えて、ペット関連企業の方にも高い関心を頂いています。最近は、ペット関連企業の方々と知り合うことも多く、カード会社として動物愛護活動に取り組んでいることに驚かれると共に、共感もいただいています。
●カード業務とは切り離して、地方創生の活動を進めることは如何ですか?
(古賀様)はじめから地方創生を意識したということではなく、神奈川県とのお話を通じて、私たちに出来る解決方法を模索し続けたことにより、新しい価値の創造に繋がっているように思います。
●通常の業務も行いながら、地域創生のプロジェクトを進めることに関しては、大変ではありませんでしたか?
(佐々木様)私は、地域創生プロジェクトが支社内で発足したタイミングに入社しました。まだ業務を通して、会社に対し何も貢献できていない中で、プラスαの活動を進める事は、同じチームの皆さんに迷惑を掛けてしまうのではないか、という不安が大きかったことを記憶しています。でも、そうした不安を払拭してくれたのが、支社内の周りの方々で、現在も応援してくれています。入社前から感じていますが、当社ではチャレンジする人を応援する文化があると実感しています。
●こうした地域課題の解決に取り組むことでの仕事へのモチベーションに変化はありましたか?
(佐々木様)地方創生への取組みがとてもワクワクすることばかりなので、通常の営業活動にもより一層力が入り、高いモチベーションに繋がっています。
(古賀)私は都内に住んでいますが、神奈川支社への異動によって、神奈川エリアのことを知るきっかけとなりました。現在、採用活動も担当していますが、学生の皆さんは、自分が生まれ育った地域に何か出来ることはないかという想いを強く感じていると思います。本年度も7名の新入社員が有志でプロジェクトに参加しており、地方創生に取り組むモチベーションも高いと感じています。
●地方創生の取組みは、採用活動の際にも会社のアピールになりますね。
(古賀様)採用活動を行う上でも、非常にプラスになっていますね。
●こうした地方創生の取組みは、これまではあまり接点のない方々とも接することになるかと思いますが、一緒にプロジェクトを進めることによって、お互いに共感性も高まって、ビジネスにも繋がりますよね。
(中川様)私は以前、セゾンカウンターに勤務していました。本来の業務だけでは、個人のお客様や、取引先の企業様とのやりとりが中心で、業務も固定化し、価値観や考え方も固まっていたかと思います。
地方創生プロジェクトでは、これまでとはお付き合いのないところで、地域の方の話や悩みを聞いたり、たまたま出会った方と繋がりをもつことで、ビジネスにも還元できると思っています。
また、全国にセゾンカウンターがありますので、そこを中心にビジネスを展開出来れば良いのではと考えています。
こうしたプロジェクトを進めることは貴重な体験ですし、これからどうビジネスに還元していけるか、楽しみです。
●こうした活動がないと、カード加入の枚数を競うだけになってしまいますよね?
(古賀様)神奈川支社として地方創生に真剣に取り組んだことで、その気付きはとても大きなものであったと思います。
(佐々木様)クレディセゾン イコール クレジットカード会社というイメージがあると思いますが、最近は、決済会社であることをアピールしています。当社ならではの付加価値をつけることによって、地域にどう貢献していくのか?地域との信頼関係を築き、両者がWin-Winの関係を構築したいと考えています。また、カード会員の皆さまにもメリットを提供するためにも、地方創生は欠かせないと考えています。
●現在進めている地方創生のプロジェクトの具体的な取組みを教えて頂けますか?
(佐々木様)現在私は横浜市に住んでおり、ずっと横浜市に何か貢献したいと思っていましたが、先日スタートを切ることが出来たのが横浜市との防災事業です。
<クレディセゾン様 ニュースリリース>(2017年9月5日)
横浜市が目指す「災害に強い人づくり・地域づくり」に賛同
横浜市と株式会社クレディセゾンが「防災・減災普及啓発事業における連携協定」を締結
●なぜ、横浜市で防災の取組みに着目したのですか?
(佐々木様)最初は横浜市の課題を探すことからスタートしました。横浜市に待機児童や地球温暖化、空き家等、様々な課題がありました。しかし、本当に一番困っていることは、新聞やネットを見るだけでは、分かりませんでしたので、横浜市役所の方に直接訪問してお話を伺いました。
横浜市役所の中には、共創推進室という部署があって、民間と横浜市とが一緒に課題を解決する仕組みが作られていたり、様々な課題も公表されていました。
その中でも防災は、横浜市民全員に関係することであると思いました。また横浜市は、震度6弱の地震が30年以内に81%の確率で起こると言われ、国内でも1、2を争う程、その確率が高い地域であることがわかりました。
また、横浜駅の近くに、横浜市防災センターという場所があります。その設備は、自助公助の考え方により、自らが守り備えることに加え、自治体としての対応を知るための教育の場として設立されています。
市役所の方との話しで、小学生が教育の一貫として訪れる機会が多いことを知りましたが、大人の訪問が少ないことが課題として挙がっていました。
●子供たちだけではなく、大人も防災意識を高める、つまり普及啓発の必要性ですね。
(佐々木様)みんなが気軽に施設を訪れて、防災意識を高めることが自治体の目標だったのですが、実現できていませんでした。そこで、横浜駅から徒歩10分程度の場所を活かし、カフェと組み合わせて気軽にお茶を飲みながら防災のことを考える場所を作ることを1年前から検討してきました。
そして、2017年10月から、横浜市とクレディセゾンが一緒になって、横浜市の防災事業を進める防災カフェの取組みをスタートすることになりました。
●石巻の家具が設置されていますが、この取組みの意義等を教えて頂けますか?
(佐々木様)石巻の方は、横浜市の方からご紹介を頂きました。防災を考えるという意味では、単に普通の家具を置くだけではなく、復興支援の観点から、石巻市にある工房の家具を置いたり、今後は、石巻の方々をお招きして、机や椅子を作るワークショップを行う予定です。作った家具はカフェに設置しますので、カフェへの愛着もわいて、足を運んで頂けると思います。
気軽に足を運んで、楽しく学べる防災施設を目指したいと思います。
●こういう視点で地方創生の取組みをしていると、営業活動の幅や視点も広がりますね。
(佐々木様)通常の営業活動でこうした地方創生の話をすることもありますが、そこから別のプロジェクトでのタイアップの検討が進んだり、繋がりも増えてきています。
(古賀様)現在、私たちは神奈川県内の10の自治体と地方創生をテーマにプロジェクトを進めています。地域間で共通の課題もあると考え、社内での情報共有も積極的に行っています。
●こうした地方創生の取組みは、地域を対象にしたまさにマーケティング活動ですね。競合他社がどうではなく、地域が活性化しなければ、決済自体も成立しないですしね。
(古賀様)弊社はセゾンカウンターを通して、地域の方々とコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、現在は、法人営業も積極的に行うことで、お客様創りを拡大してきました。そうした中、個々のお客様や事業者の方々を取り囲む自治体の活動を改めて知る機会となったことは、地方創生プロジェクトを始動させるためのヒントとなりました。
(佐々木様)地域の方々と一緒に進めていく中で、弊社が地域で必要不可欠な存在になりたいと考えています。カード会社としてだけでなく、クレディセゾンとして様々な形で地域に貢献していきたいと思います。
(中川様)もう一つお伝えしたい私たちの取組みに、ゴミ拾いがあります。
●是非、教えて頂けますか?
(中川様)昨年12月にある交流会で知り合った、NPO法人 海さくらさんのイベントに参加したことがきっかけです。
参加のきっかけは、地域の課題を見つけたり考えたりする上で、ゴミ拾いは一番地域に根差した活動だと思ったからです。
海さくらさんの活動は、海を守るための様々な活動をしていますが、7月1日には、ボランティア参加者全員が支給されたブルーのTシャツを着てブルー・サンタになって横浜駅周辺でゴミ拾いをしました。
300人位が参加した活動でしたが、ゴミ拾いをしていると、色々な方々に声を掛けて頂きました。ゴミ拾いに参加して感じたことは、楽しそうなことをしていると周りの関心を集めるということでした。
ゴミ拾いは誰でも出来る地域貢献のポピュラーな取組みですが、そこに面白さを加えて、これからは私たちが発信をしていきたいと考えています。
楽しい場に賛同したいと人は思い、楽しくて面白いからこそ、地域の活動が継続されます。これまでの企業のゴミ拾いは、社会貢献のための慈善事業でしたが、これを市民の方々を巻き込んで一緒に活動することで、ビジネスに発展できればと考えています。
●カード会員の方々や地域の方々と楽しく、何かを一緒に解決する、そのプラット・フォーマーとしてクレディセゾンがいる。こうした活動は、セゾンカードのロイヤルティを高めることになりますね。
(古賀様j)今は、いかに面白いゴミ拾いを実現出来るか、真剣に議論しています。ギネスを狙えないかとか、活動そのものを動画で配信しようとか。いかに協力してくれる人や共感してくれる企業の方々を増やして、ネットワークを広げられるかが大切だと思っています。
●様々な地方創生の取組みを進めていますが、神奈川支社のカード事業には何か好影響を与えていますか?
(古賀様)実は弊社では、月に一度、営業面の実績を共有する会議が開催されていました。しかし、支社長の提案により、そういった会議は止めて社員がブレストをする場を作ろうと、1年以上前から、アイディアを出し合うための会議を神奈川支社独自にスタートしています。
ブレストの場では、社員から新しいアイディアがたくさん生まれ、とても活性化しています。
(中川様)従来の営業とは違って、アンテナをはるための原動力にもなっていますので、色々な地方創生の活動を進める社員が増えています。これからもアイディアを出すための会議は継続されると思います。
●こうした地方創生の取組みの他支社への広がりは如何ですか?
(古賀様)他支社から、自治体とどの様なきっかけで連携できているか等の問い合わせも増え、他支社でも地方創生の具体的な取組みが始まっています。
●地方創生の取組みに関して、本社に地方創生室があったり、CSRの部門が進めているわけではなくて、皆さんが自主的に進められているのが素晴らしいですね。
(佐々木様)地域にいかに寄り添えるのかが大事であることは忘れない様にしたいと思います。また、一人ひとりでは小さいことしか出来ないと思います。周囲を巻き込んで、社内のメンバーに共感してもらえることが重要だと考えていますので、これからも挑戦していきたいと思います。
●これからも神奈川県での地方創生の取組みを楽しみにしております。本日はお忙しい中、お時間を頂きましてありがとうございました。
(みなさま)こちらこそありがとうございました。
■コラム執筆者
エンゲージメント・ファースト
萩谷 衞厚
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