Social Good Company #8:NGO編 WWF

パンダのロゴマークでおなじみのWWFは、世界100ヶ国以上で活動を行う環境保全団体。1961年に絶滅の恐れのある野生生物を保護から活動を開始し、現在は地球上の生物多様性を守り、人と自然が調和して生きられる未来目指すことをミッションに世界各国で活動を展開しています。

今回は、WWFジャパン(公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン)が2017年6月から期間限定で展開するWITH STAMPキャンペーンに関して、取り組む目的やその意義をお伺いする機会を頂きました。コーズ・リレイティッド・マーケティングとしては秀逸といえる取り組みを探ります。

今回は、WWFジャパンの以下お二人に貴重なお話を頂くことが出来ました。

テキスト

WWFジャパン

コミュニケーションズ&マーケティング室 ブランド事業グループ長 河村 翔 様
同室所属 プレス担当 山本 亜沙美 様

●まずは、WWFジャパンについてどの様な団体なのか教えて下さい。

WWFジャパンが活動を開始したのは、WWF設立のちょうど10年後の1971年からとなります。WWFは全世界で500万人のか方々からの活動費の支援を頂いており、日本国内では約5万人のサポーターからの支援を頂いています。

WWFジャパンは、「地球温暖化を防ぐこと」、自然資源を枯渇させない様持続的に利用をする「持続可能な社会を創る」こと、また、元々のWWF立ち上げの目的である「野生生物を守る」こと、そして、野生生物が生きていくためには、生息する環境を守ることが必要であるため「森や海を守る」ことの4つの分野に注力して活動しています。

WWFジャパンが活動を開始したのは、WWF設立のちょうど10年後の1971年からとなります。WWFは全世界で500万人のか方々からの活動費の支援を頂いており、日本国内では約5万人のサポーターからの支援を頂いています。
WWFジャパンは、「地球温暖化を防ぐこと」、自然資源を枯渇させない様持続的に利用をする「持続可能な社会を創る」こと、また、元々のWWF立ち上げの目的である「野生生物を守る」こと、そして、野生生物が生きていくためには、生息する環境を守ることが必要であるため「森や海を守る」ことの4つの分野に注力して活動しています。

WITH STAMPキャンペーン実施の目的から教えて頂けますか?

今回のキャンペーンで、私たちは、24,000種もの生物や絶滅の危機にあるということを知ってもらいたいというのが一番の目的でした。そして、そうしたメインの目的に加えて、WWFジャパンとしてサブとなる動議が2つほど挙げられます。

1つ目は、WWFジャパンは長年に渡り様々な環境問題の解決に取り組んでいることを知ってもらいたいということです。エコラベルの推奨や、地球温暖化を防止する活動に取り組んでいることを日本でもっと知って頂きたいのですが、パンダのロゴマーク自体も知らない人が半数以上います。そうした中で、様々な活動がなかなか伝わらない、団体としての認知度の低さが、コミュニケーション上の課題としてあります。そうしたことを今回のキャンペーンを通して、少しでも改善していけたらと考えていました。

2つ目は、団体の認知度を高めることへの延長線上にある資金調達の課題解決です。日本国内では、5万人のサポーターの方々にご支援を頂いていますが、1億2千万人のうち、5万人しかいないという考え方も出来るでしょう。団体の認知度を高めることにより、資金調達の課題も解決して頂きたいという想いもあります。

●団体としての認知度を上げるというのがサブ動機として挙げられていますが、個人的には、様々なNGO、NPOがある中で、その認知度はトップクラスではないかと感じていますが、如何ですか?

他団体との比較の話ではないのですが、つい最近ある大学で70名位の学生を対象に講義の機会を頂きました。その際にWWFのパンダのロゴを知っているか聞いてみました。すると、5人位しか知っている学生がいませんでした。団体としての認知度調査も行っておりますが、その調査結果は半数以上がロゴを認知しているという結果が出ており、それに対し、今回大学生の認知度が低かったことには驚きました。

また、別の事例では企業の商品で環境に配慮したものや環境を良くしていこうというメッセージを感じられるものに対して、私たちのロゴを使って頂きその商品の売上の一部を私たちの活動の資金とするライセンス事業も行っています。先日、そうしたライセンス事業を募る商談会へしましたが、その際も半数以上がロゴを認知していないという結果でしたので、認知度を高めるということは大きな課題であると感じています。

テキスト

●WWFジャパンを支援しているサポーター5万人はどういったセグメントですか?

支援頂いている方は、男性よりも女性の方が多く、35歳~54歳の層が最も多くなっています。日本ファンドレイジング協会さんが発行する寄付白書でも、30代以上が寄付者のメインの年齢層と言われていますが、そうした調査と似た傾向にあり、まだ支援の層が薄い若い層にも団体やロゴの認知度を広めていく必要があると思います。

●はじめに、WITH STAMPキャンペーンを行った経緯を教えて頂けますか?

今回は、WWFジャパンと印章メーカーの谷川商事さん、そして、大きな役割を果たしたのが某広告代理店です。今回一緒に進めた広告代理店は、過去の取組みでもご一緒させて頂いていました。
費用面でも代理店としてもきちんとリターンを得られる仕組みを発案し、私たちに持ち込んで頂き一緒に企画の実現をしています。

●印影のデザインや仕組みを作る上で工夫したことや苦労したことは何ですか?

今回のキャンペーンで、名字は22,000種類に対応しています。そして111種類の絶滅危惧種の印影のデザインがあります。それをもとに、450種類の動物を組み込んだ字体のデザインをし、組み合わせ、22,000種の名字に対応をしています。また、全体のバランスを考慮し、片方の文字だけに動物が組み込まれる様に工夫をしています。

テキスト

●ハンコメーカーの谷川商事さんとのコラボレーションはどう実現したのでしょうか?

私たちが企業と協働する際には、環境に配慮した活動をされていたり、また製品に関しても原料や素材などに関しても一緒に取り組む上での条件があるのですが、そうした観点で合致したのが谷川商事さんでした。

また、印影のデザインをハンコにする技術においても、もともと谷川商事さんはハンコをオンデマンドで作成できるノウハウも既にお持ちだったため、制作コストも抑えられたという面でも組みやすかったといえます。

●1,700円※の購入代金のうち、600円がWWFジャパンに寄付されるその支援の割合も大きいですよね?(※期間限定特別価格)

通常の価格に寄付金を上乗せして販売するのがチャリティの考え方ですが、それでは波及効果が抑制されてしまったりという課題がありました。今回は、谷川商事さんにキャンペーンに賛同して頂き、特別価格で提供頂き実現しました。

●今回のキャンペーンの成功の一つに、担当したみなさんのキャンペーンに対する賛同と強い想いがあったことが挙げられますね。

これまでにも、クリエーターの方や代理店等で環境問題に対して強い想いをお持ちの方々が持ち込まれる企画もこれまであったのですが、うまく行かないケースも結構多いんです。想いだけだと想いが持続しないと瓦解してしまいますし、想いだけだと売上に繋がらなかったり、契約もきちんと結ばないとリスクヘッジできないとか、色々な問題が出てきます。

今回の成功のポイントは、それぞれ関わって頂いたみなさんが、想いと実利をバランス良く両立できたことにと、以前から環境問題への危機意識も高い方々でしたので、私たちの活動に理解して頂いた点が一番大きかったと思います。

●今回のキャンペーン成功の一番の要因は何だとお考えですか?

成功要因の一つは、とてもキャッチーで、日本人にとってなじみ深いハンコ文化をうまく活用していること、Webサイトも出来るだけ学術的なことは後回しにして、かわいい、面白いといった一般の方々にも興味を持って頂ける様に設計をしたことだと思います。

メインの動機である絶滅危惧種をほんの少しでも知って頂ける様に、コンテンツの分量にも気を付けたり、そして、サブの動機である資金調達も可能とするハンコという具体的な商品が購入でき、手に取れ、その一部を寄付としてご支援頂ける仕組みが斬新であったのではないかと思います。

私たち担当者個人の感想となりますが、一つは、マーケティングの企画として考えた場合、パーソナライズの観点が一番大きかったのではと考えています。WWFジャパンのウェブサイトに「あなたを野生動物にたとえてみると?」という野生動物占いというものがあります。いくつかの質問に回答すると、回答した特徴に似た生態の動物が出てくるのですが、Webサイトの下層にあるにも関わらず、今でもかなり多くの方がご覧になっているようです。

この事例から、自分ってなんだろうといったパーソナライズのアプローチがマーケティングの観点から効くのでは、という印象を持ちました。今回も自分の名前って何だろうといったことが起点になり、調べてみてかつ、こんなだったとシェア出来るといった、代理店の設計が良かったことが挙げられます。

テキスト

●キャンペーンのWebサイトも分かりやすくて、印影もその場ですぐに確認でき、シャアしやすかったという印象があります。

通常ですと、もっと絶滅危惧種とは?の様なコンテンツを載せたいと考えがちですが、それではコンテンツの導線や流れも切れてしまいますし、パーソナライズを活かすために今回のキャンペーンではその辺りをとても配慮しました。そして、その場で実物のハンコに落とし込んだビジュアルも良かったと思っています。

今回はハンコが何本売れて、寄付がこれだけ集まったという成果が測りやすく、外部だけではなく、内部でもインパクトもあるキャンペーンとなりました。Webサイトの構造、ハンコの価格、制作した動画の素敵さ、印影の可愛らしさ等、いくつかの成功要因があるかと思いますが、こうした項目をレーダーチャートであらわすと、それぞれの項目のクオリティがどれも高く、バランスが良かったという印象があります。

テキスト

●これまでのコーズ・マーケティングのキャンペーンは、購入者がその取組みを知らずに商品を購入しているケースも多かったと思うのですが、今回のキャンペーンは、事前に自らがWebサイトに名字を入力して、サイトでシェアして、キャンペーンを認知して主体性を持って購入していますよね。

ソーシャルメディアでの声を見て私たちも実感しています。

今回のキャンペーンで面白かったのは、自分の名字をシェアすることに加えて、好きなアイドルやアニメのキャラクターの名前を入力してその結果を自分のSNSにアップする動きも見られたことです。こうしたソーシャルメディアでの拡散もキャンペーン自体の認知度アップに貢献しました。

●今回のキャンペーンとは直接関係ありませんが、WWFジャパンさんでは、他のNGO・NPOと異なり、以前からロゴ商品の販売等、ECサイトも積極的に取り組んでいらっしゃいますね。

ECサイトの役割として、ファンドレイジングの他に、認証商品を自らが広げることが挙げられます。また、最終的には継続して私たちの活動をサポーターとして支援して頂きたいのですが、まずは商品を手に取って親しみを持って頂きたいという狙いがあります。

●ECサイトは今後どの様な役割を果たしていくのでしょうか?

まだ計画段階なのですが、今後はロゴの認知度を高める役割に特化したり、商品の提供だけではなく、体験を提供するための機能を持たせたいと考えています。例えば、商品の分解方法や捨て方、環境に配慮した使い方等をコンテンツとして提供して、共感や親度を深めてもらうアプローチをしたいと考えています。

●最後に今回のキャンペーン同様、企業連携の観点から、今後の展望やご意見等をお聞かせ下さい。

企業の方々には、何か思いついたら何でも相談して頂きたいと思います。

また担当者として思うことは、CSRの観点から、企業の方々から金銭面での支援を頂いて、CSRレポートに掲載されて終わるというケースが非常に多いと感じています。それは私たちにとってとても有りがたい事ではるのですが、同時にとてももったいないと思っています。一方的なお金の拠出に留まらないで、私たちをうまく利用して頂きたいと思っています。

お互いにWin-Winの関係性を築き、マーケティングに活かせる様な面白いアイディアを一緒に考えていくことを実現したいと思っています。一緒に取り組むことによって、私たちのブランド価値と共に、組んで頂いた企業様のブランド価値も向上する機会を頂けると大変ありがたいです。

●社会課題解決を起点としたキャンペーンを進める上で今後是非ご一緒させて頂きたいと思います。本日はお忙しい中、貴重なお話を頂きまして有難うございました。

こちらこそありがとうございました。

インタビュー&Text by 萩谷

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