“暑い、足りない、隠せない” 時代の新経営原則

どんどん暑くなるから、クリーンなビジネスが勝つ
いよいよ資源が足りなくなるから、イノベーションが勝つ
なにもかも見えてしまうから、隠さないものが勝つ
bigpivot
なんか、ワクワクしませんか?私は書店でこの本を手にとり、この目次を目にして即買いしてしまいました。今回のブログは、前回のCXサーベイ結果は、次回に譲ることとして、「 ビッグ・ピボット―なぜ巨大グローバル企業が〈大転換〉するのか」を読んでの備忘録的ものとしてまとめたいと思います。2015年は、SDGsやパリ協定が採択され、Pivotal Yearと言われていますが、米国で本書が発刊されたのが2014年、まさに近い将来を予見してたタイトルと言えるでしょう。本書で貫かれるテーマは、「暑い、足りない、隠せない」
こうした脅威に対して、企業はどう転換していくべきか?具体的な戦略を提示し、ユニリーバやネスレはもちろん、コカ・コーラやマイクロソフト、ディズニー等、誰もが知るグローバル企業の様々な事例が取り上げられ、企業が進むべき方向性を示しています。暑いというのは、言うまでもなく地球温暖化のこと
足りないは、資源問題。鉱物資源もあれば、水やエネルギー、食糧も挙げられるでしょう
隠せないは、ソーシャルメディアやビックデータにより、もはや隠せる情報はなく透明性が求められること
3つのキーワードの中に、企業のガバナンスに関するテーマが含まれていることは、とても興味深いですね。弊社では、社会課題解決のための事業やプロモーションを進めるため企業のお手伝いをしたり、提案の機会を頂くことが多いのですが、良く問われることの一つがROI。総論としては否定しないけど・・といったことが多いのですが、こうした問いかけに対する回答として、本書の前半にこんな記述がありました。・まず我々がやらなければならないのは、「これをやったところでビジネスに何のメリットがあるのか?」という日増しに現実ばなれしつつある問いかけるをやめること

・ビッグ・ピボットの戦略とイニシアチブは、ビジネスの価値と同時に環境や社会への価値を生み出す。「いいことをしよう」といった類の話ではない

こうしたカウンタートークを裏付ける先進企業の様々な取り組みが、これでもかという位に散りばめられているのが、本書の説得力や納得感を増す要因になっているのだと思います。

また、ビッグ・ピボットのための10の戦略を掲げ、企業事例とともにその戦略を進める意義と、各戦略の最後には、より具体的な内容が実践編としてまとめられています。

さらに、企業のあるべき主要な原則として、以下項目が挙げられていましたが、財務指標以外の新たな企業価値を図る尺度と言えるでしょう。

・サスティナビリティという価値を認識している
・環境効率を意識している
・バリュー・チェーン全体に目を向けている
・データに基づいている
・リスクを避ける
・社員を巻き込んでいる
・協働的である
・透明性が高い

さて、お腹いっぱいになる位の個別企業の事例は、本書を読んで頂くとして、印象に残った点を2つ紹介したいと思います。

「ライバルをパートナーに」

社会をサスティナブルな世界に変えていくには、メガ・チャレンジであり、一社でやるよりも、様々なステークホルダーとの協働が必要であることが第12章で述べられています。
企業が競合企業とは絶対に共有しないイノベーションとそうではない分野が存在することがあり、いくつかの事例を挙げています。

・ナイキは、どうやってゴムを生産するのかで競争しているのではなく、デザインや運動するうえでの機能性で勝負している
・コカ・コーラとペプシコは、味とブランド力で対抗しているが、自販機の中身の機能性については競争していない(自販機冷蔵設備の共同開発をしている)
・UPSと米港郵政公社は、配達の速さやコストでは競争しているが、炭素排出量では競争していない(炭素排出量削減のため、データを共有している)

すべてにおいて競争していては、メガ・チャレンジに太刀打ちできない。イノベーションを速やかに大規模展開する必要性が出てきた今、協業は不可欠だ。消費者も一緒に乗ってもらうべきだ。と結んでいます。

「自然資本に価格をつける」

大気や水そのもの、そして、それらの浄化機能、食糧や木材、金属や鉱物など、生態系サービスと呼ばれるも野をお金に換算すると、年間48兆ドルに換算されるそうです。
そして、自然資本は、人類のあらゆる生業のプラットフォームであり、基礎であること、それを実践する取り組みとして、プーマの環境損益計算書が紹介されています。

プーマが取り組む環境損益計算書とは、
・もし地球が企業だったとしたら、プーマの様な取引先に対して、操業するための対価をどの位要求するか?
・プーマが引き起こした汚染を地球が受け入れたとしたら、その損害に対して地球はどの位の対価を要求するか?
を全て把握し、数値化するためのもの。

地球がもたらす生態系サービスがあっての企業活動であることを基本とする誠実なプーマの姿勢を改めて知ることが出来ました。それは自然資本が企業活動を行う上での基盤であり、それなしには企業どころか人類も生きられないことを理解した上でのとても人道的な責任と言えるでしょう。

最後に、著者とプーマのザイツCEOのやりとりを紹介しましょう。

著者 「なぜこんなコストと手間をかけてこんなことをやるのか?」
ザイツCEO 「だって将来のことが心配だから」

是非、皆さんもご一読を!

ビッグ・ピボット―なぜ巨大グローバル企業が〈大転換〉するのか
アンドリュー・S・ウィンストン
英治出版
2016-07-20

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萩谷 衛厚 https://www.facebook.com/moriatsu.hagiya

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